こんな番組を見ました。(追記:上記サイトで番組内容がテキストで読めます)
追記:更新されたのかな?こちらにも。
“消費される”若者たち ~格差社会の新たな現実~ - NHK クローズアップ現代+
「個人請負」という言葉,あまり聞いたことがありませんでしたが,番組冒頭のざっくりした説明によれば,
「個人事業主」…伝統的自営業・職人のほか,IT分野やコンサルタントなどの専門家のイメージ
「個人請負」…それがサービス業まで拡大したもの(ホスト,バイク便ライダー,リラクゼーション関係,調理補助,講師,エステティシャンなど)
ということらしいです。
個人請負の例として,
- 学費を稼ぐためホストとして働き,店が提供する住居に住んでいる大学生。
- マッサージ店開業を目指して勉強と経験を積むため3店を掛け持ちしている男性。
が挙げられていました(他に,女性に対して性的サービスを行う店に登録している男性なども)。
ただ,この2人は,同じような「完全歩合制」とは言ってもかなり違うと思います。前者の例は,店が生活をサポートするセーフティネットになっているという点で,女性の風俗と似ているかもしれません。
とにかくまず認識しなければならないのは,
個人事業主は労働者(被雇用者)ではない
ということです。
なので,番組にも出てきたように,労働者の雇用や労働に関する規制・保護(賃金,労働時間,残業,休暇などの規制・保護)の対象にはなりません。保険や年金も自分で加入している分だけであり(被雇用者なら会社が半分負担してくれる),雇用保険や労災保険はありません。自分の身は自分で守らなければなりません。
ですから,
「雇用されて給料をもらう」か,
「仕事を受注して報酬をもらう」かの違いは,とても重要なんです。
もし,仕事に対してもらうお金が全て給料だと思っている人がいたら,それは大変な間違いです(そんな人はいないでしょうけど)。
本来なら従業員として雇用し給料を払うべきところを,社員をかかえて固定の人件費を負担したくないために,個人請負という会社側が好きなようにしやすい形で人を使い,完全歩合制・出来高制とすることで,人件費の総額を抑えようと考える会社があるのでしょう。「出来高制だからやれば稼げる」と煽って,「やりがいの搾取」をするわけですね。
でも,働く側としては,その「出来高制」「やれば稼げる」の仕組みそのものを疑わなければなりません。
番組では,キーワードとして「やりがいの搾取」と「起業家精神」が挙げられていましたが,ホンモノの「起業家精神」があるのであれば,そういった「出来合いの仕組みに乗っかって給料のように報酬をもらう」システムからは抜け出さなければいけないでしょう。私も自分のことは棚に上げて言いますが。
ただ,ホストとして働く学生の例のように,貧困がからむと解決は難しそうです。