※1990年前後の話です。
25歳の頃に上のリンク先のような目標を立ててしまったわけですが,話はまた入社1年目の頃にさかのぼります。
入社1年目の秋頃は仕事が特に忙しく,寮に帰って食事をして部屋に戻ると,テレビをながめつつ酒をちびちび飲んでウツウツと過ごす,ぱっとしない生活をしていました。
こんなことやってちゃつまらないよなあ。
何か面白いことやらなきゃ。何かやってみたいことなかったっけ?
そんな風に考えたのかどうかよく憶えていませんが,なぜか「バーに行ってみたい」と思いついたんですね。
学生時代は,学生街の安い居酒屋や飲み屋でたまに知り合いと飲む程度。社会人になってからも,同僚と飲みに行くことはありましたが,ちゃんとした「バー」というところに行ったことはありませんでした。酒が好きというわけではありませんでしたが,何か「かっこいいこと」をやってみたいと思ったんです。
それで,当時の私は一体何をしたか。
何を血迷ったか,銀座の有名なバーに行ったんです。
それも1人で。
行ったのは銀座7丁目,泰明小学校のそばにあった,有名なバーテンダーがいらっしゃった老舗です(今はもう、残念ながら閉店してしまいました)。
有名なところに行ってしまえば,あとはどんな店だって怖くないだろうというわけです。ときどき,妙な勢いがある私です。
さすがに,最初は店の前を何回か行ったり来たりしましたが。
その店は,老舗とはいうものの立ち飲みが主体で,格式張った感じはなく,広くない店内でガヤガヤといろいろな人が飲んでしゃべっているといった雰囲気の店でした。カウンターの向こうにはバーテンダーが3人,そして客が立っているフロア側にはその奥様方3人がいらっしゃって,話相手をしたり,そばの客同士の会話を上手くとりもってくれました。そんな雰囲気も,1人で行った慣れない若造には本当にありがたく思えたものです。
最初のときもそうだったと思いますが,いつ行っても,マスターの奥様が必ず声をかけてくださいました。「この子大丈夫かしら?」と心配させる雰囲気があったのかもしれません。
でもともかく,その店のおかげで「どんな店でも入れる」みたいな妙な自信がつきました。
その店を皮切りに,ほかにも銀座や六本木,西麻布などでいろいろなバーに行きました。当時はまだネットがなかった時代。ただしバブル真っ只中。雑誌という雑誌でグルメが特集されていた時代でした。そんな雑誌で話題の店、新しい店を見つけるとそこに行ってみる,といった感じです。
そんなことを続けていましたが,東京は少し遠かったので地元の店も開拓するようになってきた,ちょうどそんな頃に,一方で「30歳までに……」なんていう考えがわき起こってきたんです。